「求人を出しても応募が来ない」「応募はあっても採りたい人がいない」。SES企業の採用担当者から、Nicopに寄せられる相談の例です。
この記事では、SES企業の採用が難しい理由を3つに整理します。続けて、社内で詰まりやすい5つの課題を見分ける方法と、課題ごとの打ち手を紹介します。最後に、課題別のGrowSES支援事例を載せました。エンジニア採用に悩むSES企業の経営者・採用担当者に向けた内容です。
結論:SES企業の採用が難しい理由は、求人倍率の高さ、業界イメージへの不安、常駐型で働く環境の見せにくさの3つです。
- dodaの転職求人倍率(2026年8月)は、エンジニア(IT・通信)12.04倍、全体2.86倍
- 社内で詰まりやすいのは「応募が来ない」「有効応募が少ない」「辞退・早期離職」「人手が足りない」「判断材料がない」の5つ
- 課題ごとに見る数値を決め、詰まっている段階から直すのが近道
還元率だけでは差がつかない理由と、SES企業が選ばれるための打ち出し方を図解した資料を無料で配布しています。

SES企業の採用が難しい3つの理由
SES企業の採用が難しい理由は、求人倍率の高さ、業界イメージへの不安、常駐型で働く環境の見せにくさの3つです。市場・業界イメージ・業態にあたります。いずれも自社だけでは変えにくい要因なので、まず前提として押さえておきましょう。
エンジニアの転職求人倍率は全体の約4倍
エンジニアは、求人の数に対して転職希望者が少ない職種です。doda「転職求人倍率レポート(データ)」によると、2026年8月のエンジニア(IT・通信)の転職求人倍率は12.04倍でした。全体の2.86倍の約4倍にあたります。前年同月の10.63倍からも上がっています(2026年9月17日発表、10月14日確認)。
公的統計でも傾向は同じです。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、情報処理・通信技術者の新規求人倍率が3.13倍でした。職業計の2.06倍の約1.5倍です(パートタイムを除く常用。2026年10月2日公表、10月14日確認)。
※dodaの転職求人倍率は、doda会員1名に対する中途採用の求人数です。新規求人倍率は、ハローワークの新規求職者1人に対する新規求人数です。算出方法が異なるため、2つの倍率は直接比べられません。

「案件ガチャ」など、業界イメージへの不安
SESは配属先によって仕事内容や職場が変わる業態です。そのため求職者は「どの案件に入るか分からない」「スキルが伸びるか分からない」と不安を持ちやすくなります。「案件ガチャ」という言葉が使われるのも、この不安の表れです。
業界イメージへの不安に答える情報が求人にないと、自社開発や受託開発の企業が先に比較の候補に入ります。応募が集まりにくい背景のひとつです。
常駐型で、働く環境を求人で見せにくい
常駐型のSESでは、エンジニアが多くの時間をクライアント先で働きます。オフィスの写真や社内の雰囲気だけでは、入社後の働く環境を伝えきれません。
その結果、求人の訴求が還元率や研修制度に偏り、どの会社も同じに見えてしまいます。配属の決め方、案件を選べる範囲、困ったときの相談先など、自社の事実を具体的に書くことが差別化の出発点です。
自社はどこで詰まっている?5つの課題のセルフチェック
SES企業の採用課題は、応募・有効応募・辞退と定着・人手・判断材料の5つに分けると、どこで詰まっているかを判定できます。次のセルフチェック表で、自社に当てはまる症状と、確認する数値を照らし合わせてください。
| 課題 | よくある症状 | 確認する数値 | 先に見る打ち手 |
|---|---|---|---|
| 1. 応募が来ない | 掲載しても応募が数件、スカウトに返信がない | 求人の閲覧数、応募数、スカウトの返信数 | 媒体と狙う層の一致、スカウトの併用 |
| 2. 有効応募が少ない | 応募はあるが、決めたターゲットに合う人が少ない | 応募数のうち有効応募の数 | 誰に合い、誰に合わないかを求人に書く |
| 3. 辞退・早期離職 | 内定後の辞退、入社後3か月以内の退職が続く | 内定承諾の数、入社後の在籍状況 | 面接の評価基準、配属の説明、内定後の連絡 |
| 4. 人手が足りない | 送信や記録が止まる、返信が遅れる | 採用業務に使える時間、対応の遅れ | 外に出せる業務と自社で持つ業務を分ける |
| 5. 判断材料がない | 何を変えれば良くなるか分からない | 送信数・返信・応募・承諾の記録の有無 | 毎週同じ項目を記録し、1か所ずつ変える |
※有効応募は、自社と決めたターゲットに当てはまる応募を指します。
数値の良し悪しを決める共通の基準はありません。同じ媒体・同じ期間の前回掲載や前月と比べると、どこで落ちているかが見えてきます。

課題1:求人やスカウトを出しても応募が来ない
応募が来ない主な原因は、媒体と狙う層のずれと、求人の横並びです。経験者を狙うのに未経験層が多い媒体だけに出していると、見てほしい人に届きません。
打ち手は、狙う経験層に合う媒体へ寄せることです。求人広告で待つだけでなく、スカウトで企業から声をかける方法も併用します。媒体の選び方は「エンジニア採用に強い媒体の比較」をご覧ください。
課題2:応募はあるが、ターゲットに合う人が少ない
ターゲットに合う人が少ない原因の多くは、間口の広げすぎです。応募数を増やそうと「未経験歓迎」「スキル不問」と間口を広げると、狙っていない層の応募も増えます。書類選考と面接の工数ばかりが増え、採用につながらない状態です。
打ち手は、誰に合い、誰に合わないかを求人に書くことです。たとえば「エンジニアとして経験を積みたい人」に絞るなら、仕事内容に技術や工程の言葉を使います。人物像の決め方は「SES企業のエンジニア採用方法」で解説しています。
課題3:内定辞退や早期離職が起きる
SES企業は、配属先が入社後に決まることも少なくありません。候補者は内定後も「どんな現場に入るのか」と不安を抱えやすく、内定辞退や早期離職の原因になります。
入社前の想定とのずれは、転職者全体でも起きています。マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」の対象は、2025年に転職した正社員1,446名です。このうち23.9%が、「自分と企業との相性」は面接時の想定通りではなかったと答えています(「どちらかといえば」を含む。2026年10月14日確認)。
採用する側の見極めにも課題があります。Nicopは、成長ベンチャー企業の経営者101名に採用の課題を聞きました。「採用しても1年以内に離職してしまう」を挙げた人は22名です。その原因で最も多かったのは「面接における見極めができていない」で、77.3%でした(複数回答)。
調査名:成長ベンチャー企業の採用実態調査。調査期間:2025年6月24日〜6月30日。調査対象:成長ベンチャー企業の経営者101名(SES企業に限った調査ではありません)。調査主体:株式会社Nicop(調査実施時:株式会社RYOMA 採用プランニング事業部)

打ち手は3つあります。1つ目は、面接官ごとに違う評価基準をそろえることです。2つ目に、配属の決め方と相談体制を選考中に説明します。3つ目として、内定後も入社日まで定期的に連絡を取り、疑問に答えてください。
面接で判断がぶれる原因と対策は「採用ミスマッチの原因と対策」で、調査データとあわせて紹介しています。
課題4:採用に使える時間と人手が足りない
SES企業では、営業や管理部門の担当者が採用を兼務していることが少なくありません。採用に使える時間と人手が限られ、媒体の運用やスカウトの送信で手一杯になります。数値の分析と改善までは手が回りません。
打ち手は、外に出せる業務と自社で持つ業務を分けることです。媒体運用、スカウトの送信、面接の日程調整は、外部に任せやすい業務といえます。一方で、採用する人物像、面接、合否の判断は自社で持ちます。外注の判断基準は「SES企業のエンジニア採用方法」で整理しました。
課題5:改善の判断材料(数値・ノウハウ)がない
採用がうまくいかない理由を説明できない場合、改善の判断材料となる数値の記録が足りていない可能性があります。送信数、返信、応募、承諾を記録していないと、何を変えれば良いかを判断できません。ノウハウは、記録の積み重ねから生まれます。
打ち手は、毎週同じ項目を記録し、1回に1か所だけ変えることです。件名・送る相手・送信時間を同時に変えると、どれが効いたのか分からなくなってしまいます。スカウトの記録項目と見直し方は「スカウトメールの返信率を上げる方法」を参考にしてください。
課題別に見る、GrowSESの支援事例
ここからは、課題別にGrowSESの支援事例を紹介します。上の5つの課題のうち、打ち手が近いものごとに事例を並べました。各事例の数値は、事例ページに書かれた条件のまま載せています。
応募が来ない:他社支援で1名90万円だった採用単価が30万円に(株式会社フレームキャリア様)
会社の状態:株式会社フレームキャリア様は、創業初期のSES企業です(従業員23名)。他社支援で求人媒体に出稿していましたが成果が出ず、採用単価は1名90万円でした。
実施したこと:Nicopは、媒体の選び方、スカウトの方法、管理画面の設定まで運用方法を共有しました。ターゲットに求人を届けるためです。あわせて、採用専門のデザイナーとカメラマンが参加し、働く魅力を伝える採用デザインページを制作しています。
結果:1回の求人掲載でエンジニア3名を採用しました。採用単価は90万円から30万円に下がっています。
自社で確認する点:応募が来ない原因が、媒体の選び方か、管理画面の設定か、求人の見せ方かを分けて見ているか。
事例の詳細:創業初期のSES事業を支援|ターゲットに届く媒体運用で3名のエンジニアを採用
有効応募を増やす打ち手:「誰に合わないか」まで書き、月平均5.9名を採用(株式会社Otaks様)
会社の状態:株式会社Otaks様は、設立直後から支援したSES企業です。代表の趣味を通じて2名を採用できていましたが、再現できる採用の仕組みがない状態でした。
実施したこと:採用コンセプト「好きに全振り」を言語化しました。求人原稿・バナー・トーンをそろえ、誰に合い、誰に合わないかを最初から明記しています。求人は見出しと1スクロールの要約で価値観と仕事の内容を伝え、一次面談には代表が必ず入りました。
結果:2024年10月以降、月平均5.9名の採用が続いています(主に経験1.5年以上のエンジニア)。採用単価は12〜13万円です。従業員は2025年10月6日時点で78名になりました。
自社で確認する点:求人に「合わない人」の条件を書いているか。応募数だけでなく、有効応募の数を見ているか。
事例の詳細:コンセプト“好きに全振り”の採用ブランディングで月5.9名・単価12〜13万円を実現
人手が足りない:人事1名の体制から、2か月で内定承諾4名(株式会社レインオンファニー様)
会社の状態:株式会社レインオンファニー様は、従業員130名(2025年10月6日時点)のSES企業です。2019年頃から主要な媒体に横断して出稿していましたが、採用単価が年々上がり、応募も鈍っていました。人事1名の体制で人手が足りず、分析やスカウト文の検証が追いついていませんでした。
実施したこと:2泊3日のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)合宿で、社員と会社の方向性をすり合わせました。主要な媒体への出稿は続けたまま、レバテックダイレクトの活用を提案し、運用しました。人事は1名から2名に増やし、KPI(採用の中間目標とする数値)の設計と属性別の記録も始めています。
結果:レバテックダイレクトで、2か月間に4名の内定承諾を得ました。
自社で確認する点:媒体を増やす前に、記録と検証に使える時間を確保できているか。
事例の詳細:MVV策定合宿×チャネル最適化で成功|レバテックダイレクト2か月で4名採用
ノウハウがない:支援会社の利用経験ゼロから、応募1,300件(株式会社Stech&Co.様)
会社の状態:株式会社Stech&Co.様は、創業直後のSES企業です。採用支援会社を使った経験がなく、「経験者が本当に来るのか」が不安でした。
実施したこと:エンジニアに単価を開示する制度を、採用コンセプトに落とし込みました。typeでは求人とスカウトを組み合わせています。スカウトは1スクロールで伝わる180字以内に絞り、23〜25時に配信して他社と時間をずらしました。経験者の一次面談には代表が入り、雑談中心で価値観や志向を聞いています。
結果:typeで応募1,300件を集めました。平均採用単価は18万円です(事例ページに期間の記載はありません)。
自社で確認する点:初めての外部支援でも、自社の強みを言葉にする時間を経営者が取れるか。
事例の詳細:GrowSES導入で応募1,300件|創業直後でも“再現性ある採用”はつくれる
※掲載の事例には、株式会社Nicop設立前の支援を含みます。当時はRYOMA採用プランニング事業部(現・株式会社Nicop)が担当しました。採用単価の算出範囲は事例ごとに異なります。事例ページに集計期間・母数の記載がない数値は、期間・母数を付けずに掲載しています。
GrowSESの支援内容、進め方、ほかのSES企業の事例をまとめたサービス資料を用意しています。自社の課題に近い支援があるかを確かめたい方は、フォームからお受け取りください。
自社で解決するか、外部に相談するかの目安
記録や評価基準づくりは自社で進めやすく、媒体の選び直しや、兼務で止まった送信と記録の立て直しは外部の支援が向きます。次の表を目安にしてください。
| 課題 | 自社で進めやすい条件 | 外部の支援が向く条件 |
|---|---|---|
| 応募が来ない | 媒体ごとの数値を見比べる時間がある | 媒体の選び直しや管理画面の設定に詳しい人がいない |
| 有効応募が少ない | 経営者と現場で採りたい人物像を話し合える | 自社の強みを言葉にするきっかけがない |
| 辞退・早期離職 | 面接官が少なく、評価基準をすぐにそろえられる | 面接官が多く、基準づくりを進める人がいない |
| 人手が足りない | 一時的な繁忙で、数か月後に戻る見込みがある | 兼務が続き、送信や記録が止まっている |
| 判断材料がない | 記録する項目を決めれば、毎週続けられる | ほかのSES企業との比較材料がほしい |
Nicopが提供するGrowSESは、SES企業に特化した採用支援サービスです。支援実績はトータル120社以上で、RYOMA採用プランニング事業部で提供していた時期から現在までの累計です。元SES事業5年以上の経営者・人事が顧問・講師として担当者を教育し、最終試験に合格した担当者が支援に入ります。
GrowSESは、自社と一緒に考えて決める伴走型の支援です。採用を丸ごと任せたい場合には合いません。面接と合否の判断は、自社で行っていただきます。
よくある質問
SES企業の採用で、最初に見直す数値は何ですか?
応募数と、そのうちの有効応募の数です。応募が少なければ媒体と求人の見せ方、有効応募が少なければ求人の対象の絞り方から見直します。
未経験者の採用に切り替えたほうがよいですか?
育成の体制があるなら有力な選択肢です。ただし間口を広げるだけでは、エンジニアを目指さない層の応募も増えます。育成の流れと、求める意欲を求人に具体的に書いてください。
外部に頼む場合、どこまで任せられますか?
媒体の運用、求人原稿の作成、スカウトの送信、面接の日程調整は任せやすい業務です。採用する人物像の決定、面接、合否の判断は自社で持ちます。GrowSESでも、面接と合否の判断は企業側で行う前提です。
まとめ|SES企業の採用は、詰まっている段階から直す
- SES企業の採用が難しい理由は、求人倍率の高さ、業界イメージへの不安、常駐型で働く環境を見せにくいことの3つ
- 社内の課題は「応募」「有効応募」「辞退・早期離職」「人手」「判断材料」の5つに分けて見分ける
- 課題ごとに確認する数値を決め、同じ条件で前回と比べながら1か所ずつ直す
SES採用の難しさは市場の要因が大きく、自社だけで変えられる部分は限られています。それでも、どの段階で詰まっているかが分かれば、打ち手の優先順位を決めることは可能です。
30分の無料相談では、現在の媒体・応募数・採用目標を伺い、どの段階から直すかを一緒に整理します。資料の準備は不要です。
お役立ち資料も無料配布中

株式会社Nicop 取締役
藤村 滉大
経歴
株式会社Nicop取締役として、採用×AIを中心としたHR×AI支援を担当しています。AIを活用したスカウト運用や求人原稿の作成など、採用業務へのAI導入を、設計から現場への定着まで伴走。RYOMAの新卒1期生として採用プランニング事業部の立ち上げに参画して以来、SES企業を中心に従業員5〜300名の企業の採用を支援してきました。採用戦略の設計、求人媒体の運用、スカウト代行で積み上げた現場の知見を、AI活用に生かしています。



