SES企業のエンジニア採用は、求人を出すだけでは進みません。人物像、伝える内容、媒体、選考、定着のどこかが欠けると、応募や承諾が途中で止まります。
この記事では、SES企業のエンジニア採用の方法を5つのステップで解説します。後半では、自社で運用するか外注するかの判断基準、費用の決まり方、外注先の確認項目を整理しました。外部の支援で採用が変わったSES企業の事例も紹介します。
結論:SES企業のエンジニア採用は、人物像→伝える内容→媒体とスカウト→選考と内定後の連絡→定着の順に整えます。社内で回らない工程だけを外部に任せるのが基本です。
- 外部に任せやすいのは、媒体運用・スカウト送信・日程調整など量と速さが必要な業務
- 採用する人物像、面接、合否の判断は自社で持つ
- 外注先は、SESの商流の理解、数値の共有、社内にノウハウを残す進め方で比べる
エンジニアは、求人に対して求職者が少ない職種です。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、情報処理・通信技術者の新規求人倍率が3.13倍でした。職業計2.06倍の約1.5倍です(パートタイムを除く常用。2026年10月2日公表、10月14日確認)。SES企業の採用が難しい理由は「SES企業の採用が難しい理由と5つの課題」で詳しく解説しています。
還元率だけでは差がつかない理由と、SES企業が選ばれるための打ち出し方を図解した資料を無料で配布しています。

SES企業のエンジニア採用の進め方|5つのステップ
SES企業のエンジニア採用は、次の5つのステップで進めます。各ステップで「何を決めるか」を先に押さえておくと、外部に任せる範囲も判断しやすくなります。
| ステップ | やること | 決めること(成果物) | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 1. 人物像 | 経験・技術・志向を整理する | ターゲットとペルソナ | 「経験者なら誰でも」で始める |
| 2. 伝える内容 | 競合と比べ、自社の強みを言葉にする | 採用コンセプト | 還元率や研修だけを並べる |
| 3. 媒体とスカウト | 狙う層に合うチャネルを選ぶ | 使う媒体と送る相手 | 有名な媒体に出して待つ |
| 4. 選考と内定後 | 動機形成と不安の解消を設計する | 評価基準と連絡の計画 | 面接官の印象だけで決める |
| 5. 定着 | 配属後の接点を決める | 面談・帰社日などの仕組み | 入社後は現場任せにする |

ステップ1:採用する人物像を決める
最初に決めるのは、どんなエンジニアを採るかです。ターゲットは採用の対象を条件で示す範囲、ペルソナは一人の状況や関心まで描いた人物像を指します。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| ターゲット | Javaでの開発経験があるエンジニア |
| ペルソナ | Javaで業務システムの開発を5年ほど担当。新しい技術を学ぶことに前向きで、配属先や業務内容が事前に分かるかを気にしている |
ペルソナが決まると、スカウトの冒頭で何を伝えるかを選べます。上の例なら、案件を選べる仕組みや使える技術を先に書き、配属の決め方を添えるのが有効です。
※ペルソナは伝え方を考えるための人物像です。年齢・性別などを応募や選考の条件にすることはできません。参考:公正な採用選考をめざして|厚生労働省
ステップ2:競合と比べ、伝える内容を決める
求職者は、同じSES企業だけでなく、自社開発や受託開発の企業とも比べて応募先を選びます。競合の範囲を広げて比べ、伝える内容となる自社だけの事実を探しましょう。
比べる項目は、還元率、案件の決まり方、研修、配属後の相談体制、社内の交流です。見つけた違いを「どんな人に、どんな魅力を届けるか」にまとめたものが採用コンセプトです。原稿・スカウト・面接で同じ軸を使うと、企業ブランディングとしても一貫した印象を残せます。
SES企業の採用ブランディングの進め方は「SES企業の採用ブランディング」で解説しています。NicopのYouTubeチャンネル「採用と組織のNicop」でも、SES企業の採用の進め方を発信中です。
ステップ3:狙う層に合う媒体とスカウトを選ぶ
チャネル選定の基本は、狙う経験層で媒体の種類を分けることです。未経験・経験の浅い層には求人広告、経験者にはスカウト型の媒体が向いています。
求人広告で待つだけでなく、スカウトで企業から声をかける方法も組み合わせます。社員に知人を紹介してもらう紹介制度(リファラル採用)も、応募が集まりにくいSES企業では有力なチャネルです。媒体ごとの特徴は「エンジニア採用に強い媒体14選の比較」で比べています。スカウトの書き方は「スカウトメールの返信率を上げる方法」をご覧ください。
ステップ4:選考と内定後の連絡で辞退を防ぐ
選考は、見極めの場であると同時に、候補者の入社動機を育てる場です。面接官ごとに評価基準がばらつくと、合否の判断も候補者への説明もぶれてしまいます。
動機形成では、配属の決め方と相談体制を選考中に説明することが欠かせません。支援先のSES企業では、経験者の一次面談に代表が入り、必要に応じて現役エンジニアが同席しました(事例ページより)。
内定後の辞退を防ぐため、入社日までの連絡の頻度と内容を決めておきます。手続きの案内だけでなく、配属に関する疑問に答える場を設けてください。
ステップ5:入社後の定着まで決めておく
SESのエンジニアは、配属後は自社のメンバーと会う機会が限られます。入社後の接点を仕組みにしておかないと、帰属意識が育たず定着しにくくなります。
たとえば「月1回の帰社日」「入社後3か月は週1回の面談」のように、頻度と期間を決めます(書き方の例です。自社の制度に置き換えてください)。入社後3か月の在籍状況も採用の振り返りに含めると、選考で何を確かめるべきかが見えてきます。
自社で運用するか、外注するかの判断基準
人物像と合否は自社で決め、媒体運用やスカウト送信など量と速さが必要な業務から外部に任せる。これが外注を考えるときの基本です。どこまで外注するかは、次の3つの観点で判断します。
外部に任せやすい業務と、自社で持つ業務
採用の工程ごとに、外部に任せやすいかどうかを整理しました。すべてを任せる必要はなく、止まっている工程から切り出す方法もあります。
| 業務 | 担当の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 採用要件・人物像の決定 | 自社(外部は整理を支援) | 事業と現場の判断が必要 |
| 採用コンセプトの設計 | 共同 | 自社の事実と、外部の比較の視点が両方要る |
| 媒体の選定・求人原稿の作成 | 外部に任せやすい | 媒体ごとの知識と作業量が必要 |
| スカウトの送信・返信対応 | 外部に任せやすい | 送信の量と、時間帯をそろえた運用が必要 |
| 応募者への連絡・面接の日程調整 | 外部に任せやすい | 返信の速さが辞退を左右する |
| 面接・合否の判断 | 自社 | 採用の責任と、候補者への約束を伴う |
| 数値の振り返り・改善 | 共同 | 外部の分析と、自社の意思決定の両方が要る |
採用業務の委託では、募集を誰の名義と権限で行うかも確認します。委託の内容によって、職業安定法上の扱いが変わる場合があるためです。詳しくは厚生労働省「募集・求人業務取扱要領」を参照してください。
外注を検討したほうがよい3つのサイン
次の3つのサインが続いているなら、外注を検討する時期といえます。
- 兼務で、スカウトの送信や記録が止まっている:送信が週によって途切れると、媒体での露出も返信の記録も不安定になります
- 媒体を増やしても、有効応募(自社が決めたターゲットに当てはまる応募)が増えない:媒体の数ではなく、狙う層と訴求のずれが原因の可能性が高い状態です
- 今の代理店や代行会社から、改善の提案が出ない:数値の報告だけで次の打ち手が決まらないなら、進め方を見直す余地があります
3つ目の状態からNicopに相談した例があります。2023年設立のSES企業、モンタージュ株式会社様は、以前の代理店の進捗確認が2週間に1回のみでした。計画に届かなくても改善策の提案はなかったといいます(事例ページより)。
外注の費用はどう決まるか
外注の費用は、サービス名だけでは決まりません。料金の型と、見積もりを左右する条件を分けて比べます。
| 比べる点 | 確認すること |
|---|---|
| 料金の型 | 月額固定か、採用1名ごとの成功報酬か、両方の組み合わせか |
| 媒体費 | 求人媒体の掲載費・利用料が支援費と別か |
| 支援の範囲 | 戦略設計、原稿作成、スカウト送信、日程調整のどこまで含むか |
| 作業量 | 職種数、媒体数、スカウトの送信通数 |
| 期間と見直し | 最低契約期間と、途中で範囲を変えられるか |
この表は見積もりを比べるための確認項目で、Nicopの料金条件を示すものではありません。採用代行(RPO)の委託範囲は「SES企業のRPO(採用代行)導入事例」で詳しく解説しています。
SES企業が外注先を選ぶときの6つの確認項目
外注先を比べるときは、実績の数よりも進め方を確認します。次の6項目を、提案や初回の打ち合わせで聞いてみてください。
| 確認項目 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 1. SESの商流を理解しているか | 還元率や案件の決まり方を、説明しなくても話が通じるか |
| 2. 担当の体制と振り返りの頻度 | 誰が担当し、どの頻度で数値を見直すか |
| 3. 媒体を自由に選べるか | 特定の媒体に限らず、狙う層に合わせて提案できるか |
| 4. 数値を共有するか | 送信数・返信・応募・承諾を、どの形式で共有するか |
| 5. 社内にノウハウが残るか | 原稿やスカウト文面、記録を自社に引き継げるか |
| 6. 面接と合否の分担 | 面接・合否は自社で行う前提か、分担が明確か |
外部の支援で採用が変わったSES企業の事例
ここからは、外部の支援を入れて採用が変わったSES企業の事例を3つ紹介します。各事例の数値は、事例ページに書かれた条件のまま載せています。
フリーランス中心から正社員採用へ。6月以降で21名を採用(ノンズ株式会社様)
外注前の状態:ノンズ株式会社様は、従業員約45名のSES企業です。Nicopへの依頼前は、フリーランス20名にSESとして稼働を依頼していました。2024年1月頃から、正社員採用への切り替えを考え始めていたといいます。
外部に任せたこと:Nicopは、有料媒体の契約から支援を始めました。4月には媒体に載せる写真の撮影と、求人原稿の準備を進めています。スカウト文面の作成も支援しました。
結果:媒体を通じて、6月以降で合計21名を採用しました。平均承諾率は80%で、毎月2名の採用目標も達成しています(事例ページに集計終了時点・承諾率の母数の記載はありません)。
事例の詳細:SESの正社員採用で21名|承諾率80%を実現
代理店経由のdoda掲載に加え、typeのスカウトを開始。採用単価7万円(株式会社テクニケーション様)
外注前の状態:株式会社テクニケーション様は、SES事業を中心とする企業です。他社の求人代理店を通じてdodaに掲載していましたが、成果に疑問を持っていました。
外部に任せたこと:Nicopは、エンジニア採用と相性のよいtypeでスカウトの活用を始めました。ターゲットを絞ったスカウト文面の作成を支援しています。求人媒体で見つけてもらうためのTOP画像も作り込みました。
結果:「1つの求人媒体だけでも月10名ほど取れる状態が、数か月間続いた」と同社は話しています。採用単価は7万円でした。2021年から支援が続き、同社は2025年3月時点で358名の規模に拡大しています。
事例の詳細:SESエンジニア採用で採用単価7万円|3年以上にわたる継続支援と成功のカギ
2週間に1回の進捗確認から、経験者2名を採用(モンタージュ株式会社様)
外注前の状態:モンタージュ株式会社様は、2023年設立のSES企業です。以前の代理店は2週間に1回の進捗確認のみで、計画を下回っても改善の提案がありませんでした。
外部に任せたこと:Nicopは、手当など福利厚生の詳細を求人に書きました。堅い文面が多い転職媒体の中で、カジュアルな呼びかけも徹底しています。PM(プロジェクトマネージャー)にピンポイントで訴求するスカウトにも改善しています。進捗が計画を下回るときは、打ち合わせで原因と次の打ち手を決めました。
結果:経験者のエンジニア2名を採用しました。採用単価は目標の60万円に対し40万円です。採用とは別に、案件を増やすためにSES企業10社以上を紹介しています。
事例の詳細:目標を3割下回る採用単価40万円でSESエンジニア2名を採用
※掲載の事例には、株式会社Nicop設立前の支援を含みます。当時はRYOMA採用プランニング事業部(現・株式会社Nicop)が担当しました。採用単価の算出範囲は事例ごとに異なります。事例ページに集計期間・母数の記載がない数値は、期間・母数を付けずに掲載しています。
GrowSESの支援内容、進め方、ほかのSES企業の事例をまとめたサービス資料を用意しています。外注を検討する前に、どの工程を任せられるかを確かめたい方はご活用ください。
GrowSESで支援できること
GrowSESは、Nicopが提供するSES企業に特化した採用支援サービスです。支援実績はトータル120社以上で、RYOMA採用プランニング事業部で提供していた時期から現在までの累計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | エンジニア採用に取り組むSES企業 |
| 担当者の教育 | 元SES事業5年以上の経営者・人事が顧問・講師を担当。最終試験に合格した担当者が支援に入る |
| 支援の範囲 | 採用戦略・採用コンセプトの設計、求人広告の運用、スカウト、面談の設計 |
| 数値の管理 | 企業ごとに運用カルテを作り、求人・スカウトの効果データを分析する |
| そのほか | SES企業向けの交流会・イベントを開催(開催頻度は相談時にご確認ください) |
| 向かない企業 | 採用を丸ごと任せ、自社では関わりたくない企業 |
面接と合否の判断は、自社で行っていただきます。GrowSESは、自社と一緒に考えて決める伴走型の支援です。
よくある質問
SES企業のエンジニア採用は、何から始めればよいですか?
採用する人物像を決めることから始めます。誰を採るかが決まらないまま媒体を選ぶと、応募が来ても有効応募が増えません。
採用代行(RPO)と採用コンサル、どちらを選べばよいですか?
作業する人手が足りないなら採用代行、採用の方針や伝える内容が決まっていないなら採用コンサルが向いています。両方に課題がある場合は、設計と運用を一緒に見る支援を選びます。
外注すると、社内にノウハウは残りますか?
残るかどうかは進め方しだいです。原稿、スカウト文面、数値の記録を自社に引き継ぐか、契約前に確認してください。支援先のSES企業では、採用に関わるメンバーが1名から4名に増えた例もあります(事例ページより)。
外注の費用はどれくらいですか?
料金の型と作業量で変わるため、一律の金額は示せません。見積もりには、採用したい職種と人数、使う媒体、スカウトの通数、期間を用意すると比べやすくなります。
まとめ|SES企業のエンジニア採用は、決めることと任せることを分ける
- SES企業のエンジニア採用の方法は、人物像→伝える内容→媒体とスカウト→選考と内定後→定着の5ステップ
- 外注するかの判断は、業務を「自社で決めること」と「外部に任せやすいこと」に分けて考える
- 外注先は、SESの理解、数値の共有、社内にノウハウを残す進め方で比べる
SESのエンジニア採用では、すべてを自社で抱える必要も、すべてを任せる必要もありません。止まっている工程を見つけ、そこから外の力を借りるのが現実的です。
30分の無料相談では、今の採用の進め方を伺い、どの工程を外部に任せるとよいかを一緒に整理します。見積もりに必要な条件も、その場で確認できます。
お役立ち資料も無料配布中

株式会社Nicop 取締役
藤村 滉大
経歴
株式会社Nicop取締役として、採用×AIを中心としたHR×AI支援を担当しています。AIを活用したスカウト運用や求人原稿の作成など、採用業務へのAI導入を、設計から現場への定着まで伴走。RYOMAの新卒1期生として採用プランニング事業部の立ち上げに参画して以来、SES企業を中心に従業員5〜300名の企業の採用を支援してきました。採用戦略の設計、求人媒体の運用、スカウト代行で積み上げた現場の知見を、AI活用に生かしています。



