掲載しても応募が来ない!
応募は来るけど有効応募が少ない…
SES企業が採用ブランディングで成果を出すには、現場を巻き込んで自社の強みを言葉にし、ターゲットに合わせた採用コンセプトを、求人・スカウト・面接まで一貫して伝えることが大切です。業務内容で差がつきにくいSES企業ほど、「この会社で働く理由」が応募と定着を左右します。
本記事では、SES企業が採用ブランディングに取り組む際のコツや、よくある失敗と対策を解説します。応募数の低迷や早期離職にお悩みのSES企業は参考にしてください。

SES企業に採用ブランディングが必要な理由
エンジニアの採用競争は激しくなっています。doda「転職求人倍率レポート(データ)」によると、2026年8月のエンジニア(IT・通信)の転職求人倍率は12.04倍で、全体(2.86倍)の約4倍です(2026年9月17日発表)。多くの企業の中から選ばれるには、求職者に「この会社は他とは違う」と感じてもらう必要があります。

とくにSES企業は応募が集まりにくく、自社で働く魅力を求職者に印象づけられる「採用ブランディング」が重要です。
ここからは、SES企業に採用ブランディングが必要な理由を課題背景とともに解説します。
- SES業界特有のイメージ
- 競合他社との差別化が難しい
- 入社前後のギャップで早期離職が起きやすい
SES業界特有のイメージ
SES企業は「労働環境が不安定」「キャリアパスが見えにくい」など、マイナスのイメージを持たれやすい業界です。
そのため、自社開発や受託開発の企業と比較すると応募が集まりにくい傾向があります。ネガティブな先入観があると求人情報だけでは安心感を与えにくく、自社の実態を伝える採用ブランディングが欠かせません。
競合他社との差別化が難しい
SES企業は、エンジニアがクライアント先に常駐するスタイルが主流のため、業務内容や案件の種類での差別化が難しい特徴があります。結果として、求人情報が似たような表現になりがちで、求職者からは「どの企業も同じ」に見えてしまいます。
企業文化や育成方針、現場でのフォロー体制など、自社ならではの価値を採用ブランディングで伝えることが重要です。
入社前後のギャップで早期離職が起きやすい
SES企業では、配属先によって仕事内容や職場環境が変わるため、入社前の期待と入社後の実態にずれが生まれやすくなります。マイナビの転職動向調査2026年版(2025年実績)でも、2025年に転職した正社員1,446名のうち23.9%が、入社後に「自分と企業との相性」が想定通りではなかったと答えています。

採用ブランディングを正しく行えば、事前に企業文化や雰囲気を理解した上で応募してもらえるため、ミスマッチの防止につながります。
採用ブランディングは応募数の確保だけでなく、定着する人材と出会うための手段にもなるのです。
採用ブランディングとは?
採用ブランディングとは、企業で働く魅力を社内外に一貫したメッセージとして発信することで、「この会社で働きたい」と思ってもらえるブランドイメージを築く取り組みです。

採用ブランディングを実施すると、自社の価値観に共感した人材が集まりやすくなる点がメリットです。ターゲット人材からの応募増加や早期離職の防止、新入社員の即戦力化につながります。
採用ブランディングの基本は以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
SES企業ならではの採用ブランディングのコツ
SES企業が採用ブランディングに取り組む際は、自社の魅力をターゲットにどう伝えるかがポイントとなります。ここでは、SES企業が採用ブランディングを成功させるためのコツを手順に沿って解説します。
- 求職者のニーズを理解する
- 自社の強みを分析し、整理する
- ターゲット人材を明確にする
- 採用コンセプトを設計する
- ターゲットに合う媒体を選定する
- 発信を継続し、振り返る
求職者のニーズを理解する
採用ブランディングの戦略を立てる前に、求職者のニーズを理解する必要があります。
新入社員へのアンケートは、実際に転職を経験した人のリアルな声が得られ、具体性の高い情報源になります。また、競合分析や業界のイメージの把握など、市場理解も欠かせません。
求職者がどんな不安を抱え、どんな価値を求めているのかを知ることで、求職者の視点に合った訴求ができるようになります。
自社の強みを分析し、整理する
SESは業務内容での差別化が難しい業種です。自社ならではの強みが訴求しにくく、「高還元率」や「スキルアップできる職場」などの汎用的な表現が使われやすい傾向があります。
自社の魅力を分析する際は、会社全体を巻き込んだワークショップの実施がおすすめです。とくに現場のメンバーに参加してもらい、自社の強みや魅力を洗い出しましょう。
その際、「採用の4P」という枠組みを活用すると独自の強みが見えやすくなります。
採用の4Pは、以下の4つから成り立ちます。
- Philosophy:理念・目的
- Profession:仕事・事業
- People:人材・風土
- Privilege:働き方・待遇

制度や研修、キャリア支援、チームの雰囲気など、普段は語らないような当たり前の文化にも目を向けることがポイントです。
これらを整理した上で競合他社と比較し、自社ならではの魅力を言語化します。
ターゲット人材を明確にする
魅力を伝えるには、誰に伝えるのかを明確にする必要があります。未経験者・経験者・若手・中堅など、狙う人材によって響く言葉が異なるからです。
そこで有効なのがペルソナ設計です。求職者の経験・キャリア・価値観・抱える不安・将来像などを具体的に描くと訴求軸が定まり、採用活動全体に一貫性が生まれます。実際に自社で活躍しているメンバーを基準にすると、現実的な人物像になります。
採用コンセプトを設計する
採用コンセプトとは、自社の強みとターゲットとなる求職者のニーズをかけ合わせて生まれるメッセージのことです。
採用コンセプトは自社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に基づくもので、求人広告や採用ページ、SNS投稿など、あらゆる発信の軸となります。
自社の文化や制度にネーミングをつけ、「求職者にどうみられたいか」「自社で働くとどんなメリットがあるか」を言語化します。
ターゲットに合う媒体を選定する
発信する内容とペルソナが決まったら、どの媒体で伝えるかを決めます。
たとえば、SNSは媒体によって利用者の年代が大きく異なります。総務省の令和7年度の調査では、Instagramの利用率は20代82.6%に対して40代67.1%、TikTokは20代61.5%に対して40代42.6%でした。ターゲット層に合わせて媒体を選びましょう。

SNSを活用した採用については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
また、求人広告においても、自社コンセプトに合う媒体を選ぶことで母集団の質が変わります。ターゲットとの接点を意識した媒体選定が効率的な採用活動につながります。
SES企業におすすめの求人媒体は以下の記事も参考にしてください。
発信を継続し、振り返る
採用ブランディングは長期的な視点で取り組む必要があります。発信を継続し、反応を見ながら改善を重ねることで、ブランドイメージが定着していくからです。
そのためには、応募数やクリック率、SNSの反応数など、定量的な指標をあらかじめ設定しておくことが重要です。もし、思うような結果が出なかった場合は、前の段階に戻って見直しましょう。
数値の変化をもとに仮説検証を繰り返しながら、採用活動全体の精度を高めます。

採用ブランディングの詳しい手順は以下の記事で解説しています。
採用ブランディングでよくある失敗と対策
採用ブランディングに取り組む中で、つまずきやすいポイントがあります。ここでは、実際の支援現場で見たよくある失敗とその対処法を紹介します。
- 企業が伝えたいことを優先している
- 一貫性がなく、イメージ形成が不十分
- 発信内容と実際の職場環境にギャップがある
- 継続的な発信ができていない
企業が伝えたいことを優先している
自社の魅力を発信することに意識が向きすぎると、企業側の伝えたいことが先行し、求職者の視点が不十分なことがあります。自社にとっての強みであっても、求職者のニーズを満たしていなければ応募につながりません。
対策としては、「ターゲットは何に不安を感じているか」「どんな情報を求めているか」を意識し、求職者の関心軸と接点のあるメッセージにして伝えることが必要です。
一貫性がなく、イメージ形成が不十分
採用ページと求人票、SNSなどで言っていることがバラバラだと、企業としての印象が定着しにくくなります。採用コンセプトが不十分な場合やターゲットとなる人材像を具体的に設定していないケースで起こりがちです。
採用ブランディングでは一貫した発信が重要です。採用の土台となる採用戦略と、採用の軸となる採用コンセプトを定めた上で運用しましょう。
発信内容と実際の職場環境にギャップがある
発信している内容が魅力的でも、入社後に「実際は違った」と感じてしまえば、早期離職や不信感につながります。求職者に少しでも印象をよく見せたいという意識が強い場合や、現場とのすり合わせが不足していると起きやすい失敗です。
現場のメンバーを巻き込んだワークショップを実施して、自社の魅力だけでなくネガティブな要素も意見を出し合い、必要に応じて制度や体制を調整します。
継続的な発信ができていない
採用ブランディングは、短期的な施策ではなく、積み重ねによって効果が現れる取り組みです。コンテンツが数回で途切れると、企業としての印象も弱くなってしまいます。
継続のモチベーションを維持するには、反応の手応えが見えるデータを定期的に把握しておくことがおすすめです。たとえば、採用数だけで成果を測るのではなく、インプレッション数やクリック数などの中間指標も確認し、社内に共有しましょう。成果が数値として現れることで続けやすくなります。
Nicopでは、採用ブランディングの進め方をゼロから整理した「ゼロからの採用ブランディング設計ガイド」を無料で配布しています。自社で取り組む際のチェックにご活用ください。

採用ブランディングに取り組んだSES企業の事例
Nicopが採用ブランディングを支援したSES企業の事例を3つ紹介します。
強みを言葉にしてコンセプトを統一し、掲載期間半分で応募数2倍
SES企業(従業員86名)|経験者エンジニアの中途採用|求人媒体:マイナビ転職
Nicopは、社員を巻き込んだブランド設計ワークショップを行い、ターゲットの設定とMVVにもとづく採用コンセプトの言語化、社風や制度の明文化を支援しました。
できあがったコンセプトをマイナビ転職の原稿とリファラル採用の設計に反映した結果、4週間の掲載で42件の応募を獲得し、Java・SQLの実務経験者の採用にもつながりました。コンセプトに共感した候補者が増え、一次面接を対面で希望する人も出ています。
採用担当者と一緒に魅力を言葉にし、応募数2.3倍・初の内定承諾
SES企業(従業員約63名・大阪と東京の2拠点)|エンジニアの中途採用
Nicopは、採用担当者への教育から始め、ブランド設計ワークショップで自社の魅力を言葉にしました。ワークの中で体制面の強みに気づき、訴求と採用ターゲットを調整しています。
決めたコンセプトを求人・スカウト・面談・最終面接の伝え方や自社メディア、SNSアカウントの運用にも反映した結果、応募数は2.3倍になり、東京で初めての内定承諾につながりました。
尖った採用コンセプトで、社員2名→78名に
株式会社Otaks様(SES企業・設立直後)|エンジニアの中途採用|支援:GrowSES(担当 影山)
Nicopは、「オタク気質のエンジニアが集まり、好きなことを強みにできる」という文化を言葉にし、採用コンセプト「好きに全振り」を定めました。求人原稿・バナーのトーンをそろえ、尖った部分を隠さずに打ち出しています。
見出しと1スクロールの要約で価値観と仕事像を伝え、カジュアル面談へ誘導し、一次面談は代表が必ず担当。カラオケ大会をアニソン部屋と一般部屋に分けるなど、社員が楽しめるイベントも採用の体験に組み込みました。
事例の詳細:コンセプト“好きに全振り”の採用ブランディングで月5.9名・単価12〜13万円を実現
※掲載の事例は、株式会社Nicop設立前にRYOMAグループの採用プランニング事業部(現・株式会社Nicop)が担当した支援を含みます。
よくある質問
SES企業が自社らしさを出すには?
自社の魅力を分析する際は、会社全体を巻き込んだワークショップの実施がおすすめです。「採用の4P」から強みを整理し、制度や文化にネーミングをつけて言語化します。
思うような成果が出ないときは?
正しい手順で採用ブランディングを実施しても成果が出ないときは、MVVや採用コンセプトなどの土台部分を再構築します。その際、第三者の視点で見直すと精度が高まります。
Nicopでは、採用ブランディングのご相談を承っています。「実施したけれどうまくいかなかった」という企業はもちろん、「何から始めればいいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。
採用マーケティングとの違いは?
採用マーケティングは応募獲得を目的とした戦術で、採用ブランディングは企業で働くイメージを構築する戦略です。

採用ブランディングと採用マーケティングの違いについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
まとめ|ブランディングでエンジニアに自社の魅力を伝えよう
SES企業が採用を成功させるためには、自社ならではの魅力を言語化し、ターゲットに届く形で発信していくことが欠かせません。採用ブランディングを行うと、応募数の増加はもちろん、入社後のミスマッチ防止にもつながります。
とはいえ、「何から始めればいいかわからない」「発信しても成果につながらない」とお悩みの企業も多いのではないでしょうか。
GrowSES(グロース・エス・イー・エス)は、Nicopが提供するSES企業特化の採用支援サービスです。採用戦略の設計から、ブランド設計ワークショップ、求人広告・スカウトへの反映と運用まで、SES業界を理解した担当者が一緒に進めます。採用活動にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

お役立ち資料も無料配布中

株式会社Nicop 代表取締役
影山 のえ(かげやま のえ)
経歴
新卒で大手求人広告会社に入社し、360名の中から新人賞を受賞。
採用支援会社では全社MVP。その後、教育系SaaS企業で人材育成コンサルティングと自社人事の双方を経験。
採用の「入口」から入社後の育成・定着までを一貫して手がけ、
株式会社Nicopを設立。







