社員や関係者のネットワークを活用して、自社に合う人材を紹介してもらうリファラル採用。マイナビの「中途採用状況調査2026年版」では、中途採用でリファラル採用を利用した企業は27.9%と前年から3.2ポイント増え、利用した企業の43.1%が実際の採用につなげています。
本記事では、リファラル採用のメリット・デメリット、紹介報酬の法的な注意点、導入の手順と費用を解説します。「コストを抑えて採用活動をしたい」「リファラル採用のやり方を知りたい」とお考えの方は参考にしてください。
リファラル採用とは?

リファラル採用とは、社員のネットワークを活用し、知人や元同僚などの候補者を紹介してもらう採用手法です。求人広告や人材紹介サービスを利用せずに採用でき、コストを削減できる点が特長です。
マイナビの「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」(2025年12月、従業員3名以上の企業の人事担当者1,500名)によると、中途採用でリファラル採用を利用した企業は27.9%で、前年の24.7%から3.2ポイント増えました。利用した企業のうち、実際に採用につながった割合(採用到達率)は43.1%です。社員の紹介を通じて、自社をよく知ったうえで応募する人と出会えることが、リファラル採用の強みです。

リファラル採用は、コストを抑えつつ、質の良い人材を採用したい企業におすすめの採用手法です。
制度づくりを始めるときは、紹介してほしい人の決め方から紹介報酬の規程、毎月の見直しまでを記入シート7枚で決められる資料をご活用ください。無料でダウンロードいただけます。

リファラル採用のメリット
リファラル採用の主なメリットは、採用コストの削減、転職潜在層への接触、入社後の定着など、次の5つです。
- 採用コストが削減できる
- 転職潜在層にもアプローチできる
- 採用の質が向上する
- 社員のエンゲージメントが向上する
- 定着率の向上につながる
ここからは、それぞれのメリットを詳しく解説します。
採用コストが削減できる
リファラル採用の最大のメリットは、ほかの求人媒体を利用する場合と比べて、採用コストを削減できること。
ほとんどの場合、求人広告の掲載費用や人材紹介の成功報酬よりも費用が安く済みます。外部コストを抑えられ、限られた予算内でも優秀な人材を確保しやすくなる点がメリットです。
転職潜在層にもアプローチできる
リファラル採用は、転職潜在層にも接触できる点がメリット。転職潜在層とは、転職を視野に入れつつも転職活動を行っていない人材のことです。
たとえば、現職の仕事に満足しているものの「より良い環境で働きたい」と考えている人材など、ほかの採用媒体ではリーチしにくい人材にもアプローチできます。
採用の質が向上する
リファラル採用では、社員がすでに知っている人材を推薦するため、候補者のスキルや人柄を事前に把握した状態で選考を進められます。
求人票や短時間の面接だけではつかみにくい働き方の志向も、紹介者の情報によって補完可能です。入社後のミスマッチが少なくなり、採用の質を高める手段として有効です。
社員のエンゲージメントが向上する
紹介する側の社員は、企業文化や職場環境を理解しており、被紹介者の人柄も考慮したうえで紹介します。その結果、被紹介者は入社後に企業の価値観に合いやすく、職場での人間関係が円滑になりやすいです。
既存社員は自分と似た価値観を持つ仲間と働けることでモチベーションが向上し、エンゲージメントの向上につながります。
定着率の向上につながる
リファラル採用は、人材の定着率を向上できる点がメリットです。
応募者は、入社前に仕事内容や職場環境について詳しい情報を得られ、働く状況を具体的にイメージしやすくなります。これにより、「実際に働いてみたら想像と違っていた」という理由による離職が減少します。リファラル採用は長期的に人材を確保するうえで有効な採用手段です。
リファラル採用には多くのメリットがあるものの、「誰か紹介してほしい」と呼びかけるだけでは成果につながりにくいのが実情です。株式会社Nicopではリファラル採用制度の整備をサポートしています。「リファラル採用で成果を出したい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。

リファラル採用のデメリットと対策
リファラル採用のデメリットは、社員の負担の増加、人材の偏り、選考の公平性の3つです。それぞれの対策とあわせて紹介します。
- 社員の負担が増加する
- 人材が偏り、多様性が低下する
- 選考時に公平性を保ちにくい
社員の負担が増加する
リファラル採用では、社員が自ら候補者を探して紹介する必要があります。そのため、通常業務に加えて採用活動に時間を割く負担が増える点がデメリットです。
社員が無理なく採用活動に参加できるよう、推薦フォームや進捗管理ツールなどを活用し、負担を軽減する環境を整えましょう。
人材が偏り、多様性が低下する
リファラル採用は、社員が自身の人脈から候補者を推薦するため、既存社員と似た経歴や価値観を持つ人材が集まります。特に、新しいアイデアや柔軟な発想が求められる業界では、人材の偏りが組織の成長を妨げる要因となることがあります。
多様性を確保するには、ほかの採用手法も併用し、幅広い人材を活用する取り組みが必要です。
選考時に公平性を保ちにくい
リファラル採用では、紹介者の推薦が選考に影響を与え、公平性が損なわれるリスクがあります。
たとえば、紹介者が「ぜひ採用してほしい」と強く推す場合、選考担当者がその意見を重く受け止めることで、選考結果に偏りが生じます。
公平性を保つには、客観的な評価を行えるよう、事前に選考基準を明確に設定することが重要です。
リファラル採用の注意点
リファラル採用でのトラブルを避けるために、以下の注意点を確認しておきましょう。
- 紹介者と候補者の関係悪化に注意
- 紹介報酬の違法リスクに注意
紹介者と候補者の関係悪化に注意
リファラル採用では、不採用になった場合に紹介者と候補者の関係が悪化する可能性があります。
不採用の理由が十分に伝わらないと、社員が会社への不満を抱いたり、候補者が紹介者に気まずい思いを感じたりするため注意が必要です。
不採用の場合でも感謝を示し、選考理由をフィードバックしましょう。
紹介報酬の違法リスクに注意
リファラル採用で紹介報酬を設定する際は、職業安定法や労働基準法を順守する必要があります。報酬を高額にしすぎると、無許可で有料職業紹介事業を行っているとみなされる可能性があるからです。また、報酬制度を明記せずに運用することもコンプライアンス違反のリスクがあります。
職業安定法第40条では、募集に従事する社員に報酬を与える場合は「賃金、給料その他これらに準ずるもの」として支払うことが定められています(職業安定法|e-Gov法令検索)。紹介報酬は就業規則や賃金規程に定め、給与として支給しましょう。

リファラル採用の手順
リファラル採用は、単に社員に「紹介してほしい」と呼びかけるだけでは成功しにくいです。制度設計やフォロー体制など戦略的な取り組みが必要になります。具体的な手順は以下の通りです。
- リファラル制度を設計する
- 制度の内容を周知する
- 候補者を紹介してもらう
- 候補者の応募・情報の受理
- 選考・面接を行う
- 採用決定通知・入社手続き
- オンボーディング
- 紹介報酬(インセンティブ)を支払う
- 制度の評価と改善を行う
株式会社Nicopでは、リファラル採用支援を実施しています。「リファラル採用制度を導入したいけど、何から始めればいいかわからない」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
リファラル制度を設計する
紹介から入社までのフローや採用条件、紹介者への報酬(インセンティブ)を設計します。
報酬は金銭以外にも、MVPの表彰、特別休暇、社員旅行など多様なインセンティブを検討できます。話題性のあるインセンティブを設定すると、社員のモチベーションにつながりやすいです。ただし、過度に高額な報酬設定は違法リスクを伴うため、職業安定法や社内規定に基づいてリファラル制度を設計しましょう。
制度の内容を周知する
リファラル採用制度を導入した後は、社員への周知が必須です。
社内メールやチラシで形式的に告知するだけでは、十分に浸透しません。社員が積極的に参加しやすいよう工夫が必要です。たとえば、説明会を開催し、紹介手順や推薦ツールの使い方を説明すると、リファラル採用に馴染みがない社員もイメージが湧きやすくなります。
候補者を紹介してもらう
社員が自身のネットワークから適性のある人材を探し、推薦します。
推薦プロセスが煩雑だと社員のモチベーションが低下しやすいため、スムーズに紹介できる環境を整えておきましょう。推薦フォームなどのリファラル採用ツールを導入すると紹介するための工数が減り、紹介のハードルが下がります。
候補者の応募・情報の受理
候補者が応募書類を提出し、採用担当者が選考に必要な情報を受け取るプロセスです。
この際、紹介者から補足情報を共有してもらうと、候補者への理解を深めやすくなります。また、ATS(応募者管理システム)を導入すれば、候補者の書類や選考進捗を一元管理でき、応募管理の負担を軽減できます。
選考・面接を行う
書類選考を通過した候補者に、面接や適性評価を実施します。
リファラル採用では、紹介者の推薦により候補者への期待が高まりやすい傾向があります。評価が甘くなるとミスマッチが生じる原因になるため、注意が必要です。公平な選考が行えるよう、事前に評価基準を明確にしておきましょう。
採用決定通知・入社手続き
最終面接を経て採用が決まったら、候補者に採用決定通知を行います。この際、候補者だけでなく紹介者にも結果を共有し、感謝の気持ちを伝えましょう。
また、不採用の場合でも、候補者と紹介者に対してフィードバックを行い、選考理由を具体的に説明します。候補者や紹介者が結果に納得しやすくなり、関係性の悪化を防ぐことが可能です。
オンボーディング
オンボーディングとは、新入社員が職場に馴染みやすくなるようサポートするための取り組みのこと。リファラル採用では、被紹介者が社内に知人を持つため適応しやすい傾向がありますが、スムーズな定着には入社後のフォローが必要です。
入社後の研修や定期面談に加え、紹介者と被紹介者を含めたウェルカムランチなどを実施すると職場に馴染みやすくなります。
紹介報酬(インセンティブ)を支払う
事前に定められた条件に基づき、紹介者に報酬を支払います。
リファラル採用ツールには、紹介報酬の管理機能を備えているものもあります。進捗状況を一元管理でき、報酬の支払いに関するミスを防止することが可能です。
リファラル制度の信頼性を保つためにスムーズな申請手続きと透明性のある運用を徹底しましょう。
制度の評価と改善を行う
紹介数や採用成功率、候補者の質、定着率などのデータを定期的に分析し、制度の評価と改善を行いましょう。紹介者のインセンティブが十分な動機付けとなっているか、社員の紹介意欲を妨げる要因がないかなどの検証が重要です。
また、リファラル採用が成功した場合は、成功事例を社内で共有することで、ほかの社員の紹介意欲を高める効果が期待できます。

リファラル採用にかかる費用
リファラル採用は、採用コストの削減に効果的な手法ですが、以下のような費用が発生します。ただし、これらの費用は必須ではなく、採用戦略や進め方によって異なります。以下は、リファラル採用で想定される費用の例です。
- 社員への紹介報酬(インセンティブ)
- 候補者との交際費
- 専用ツールの導入費用
社員への紹介報酬(インセンティブ)
リファラル採用では、制度に沿って紹介者に報酬を支払います。金額と支給条件は企業ごとに決めますが、職業安定法第40条により、紹介報酬は賃金・給料として支払う必要があります。金額・対象・支給時期を賃金規程に明記しておきましょう。金銭報酬に加え、表彰や特別休暇などのインセンティブを組み合わせるケースもあります。
候補者との交際費
リファラル採用では、紹介者や候補者との会食や社内見学時に軽食を提供する際に費用が発生します。食事以外にも、社員が候補者と交流するためのイベントなどの交際費がかかる場合もあります。
専用ツールの導入費用
採用規模によっては、リファラル採用ツールの導入がおすすめです。候補者の経歴を簡単に入力できる推薦フォームや進捗管理機能、インセンティブ管理機能などがあり、採用の効率化につながります。
導入には初期費用や月額利用料が発生するため、費用対効果を検討したうえで導入しましょう。
リファラル採用の実例は、NicopのYouTubeチャンネル「採用と組織のNicop」でも紹介しています。下の動画では、創業半年のSES企業が経験者エンジニア8名を採用するまでの進め方を話しています。
リファラル採用がおすすめの企業
リファラル採用がおすすめの企業の特徴は以下の通りです。
- 企業文化が確立している企業
- 専門スキルが必要な企業
- 採用コストを削減したい企業
企業文化が確立している企業
企業文化が確立している企業は、リファラル採用で効果を発揮しやすいです。
社内のミッションやバリューが明確で、社員が共通の価値観を持って働いている企業では、紹介者が企業の魅力を正しく伝えやすいからです。候補者は入社後の環境を具体的にイメージしやすくなり、ミスマッチによる早期退職が低減します。
専門スキルが必要な企業
専門職は、一般的な求人広告では優秀な人材を見つけにくいため、社員のネットワークを活用することで効率的な採用が可能です。
たとえば、業界内のつながりが強いITエンジニア同士なら、スキルや適性を理解した上で推薦できるため、自社に合う人材を確保しやすくなります。
採用コストを削減したい企業
リファラル採用は、スタートアップ企業のように限られた予算で採用活動をしたい企業におすすめです。
求人広告の掲載費用や人材紹介の成功報酬が不要なため、採用コストを削減できます。社員のネットワークを活用することで、外部費用を抑えつつ、自社に合う人材を採用できます。
リファラル採用制度の設計手順やよくある失敗については、以下の記事もご参考にしてください。
よくある質問
縁故採用との違いは?
リファラル採用は、社員の幅広い人間関係から候補者を紹介してもらい、通常の選考で合否を決めます。縁故採用は、経営者など企業の重要人物の親族や近しい友人を対象にし、選考よりも関係性を重視して採用する点が異なります。縁故採用には、多様性や客観性の面で課題が生じやすいデメリットがあります。
紹介報酬はどのように支払えばいい?
紹介報酬は、賃金・給料として支払います。職業安定法第40条で、募集に従事する社員への報酬は賃金・給料などとして支払う場合を除き禁止されているためです。金額・対象・支給時期を就業規則や賃金規程に定め、給与と一緒に支給しましょう。
リファラル採用は違法?
リファラル採用自体は違法ではありません。
しかし、紹介報酬が過度に高額な場合や、不透明な斡旋行為が行われていると、職業安定法や労働基準法に違反する可能性があります。関連法規に基づき、適正な運用を行いましょう。

まとめ|リファラル採用(社員紹介制度)で採用を成功させよう
リファラル採用は、社員のネットワークを活用して人材を紹介してもらう採用手法です。採用コストを抑えつつ、自社をよく知る社員の目を通して候補者と出会えます。一方で、社員に呼びかけるだけでは紹介が集まらず、制度が止まってしまうこともあります。紹介報酬は給与として支払うなど、法令に沿った制度設計と、社内への周知が欠かせません。
株式会社Nicopでは、リファラル採用の導入支援サービスも提供しています。「リファラル採用を始めたいけど何から始めればいいのかわからない」「リファラル採用を導入してみたけどうまくいかなかった」とお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お役立ち資料も無料配布中

株式会社Nicop 取締役
藤村 滉大
経歴
株式会社Nicop取締役として、採用×AIを中心としたHR×AI支援を担当しています。AIを活用したスカウト運用や求人原稿の作成など、採用業務へのAI導入を、設計から現場への定着まで伴走。RYOMAの新卒1期生として採用プランニング事業部の立ち上げに参画して以来、SES企業を中心に従業員5〜300名の企業の採用を支援してきました。採用戦略の設計、求人媒体の運用、スカウト代行で積み上げた現場の知見を、AI活用に生かしています。





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